◆これを賞します
「栄光」というものが、大玉転がしに使えるくらいの光の玉だとしたら、たぶん私が持っているのは、おはじき程度のものだと思う。
というより、そんな大きな栄光を持っている人の方が、稀だと思う。まぶしいから目立つだけで、私みたいにおはじきをちゃらちゃらやってる人の方が、うんと多いんじゃないかな。
それはそれとして。「栄光」を形にしたもので(おはじきとかではなく)、一番分かりやすいものは、あれ。
賞状。
特に優秀な成績を収めました。これを賞します。
賞してくれるのはいいんだけど、別に一等賞を取ったわけでもなし。参加賞みたいなレベルでも賞状をくれてしまうから、実際はただの上質な紙っきれ。
でも不思議と、捨てられない。
そんなおはじきを讃えたものに、何の価値もないって分かってるのに、捨てられない。
だからだめなんだろうなあ。
身内に、スンゲェ結果を残すヤツがいるけど、彼は容赦なく賞状でもトロフィーでも捨てようとする。ただ、邪魔らしい。
そういうのを見ていると、自分の小物感に心底ガッカリする。
――という文章を書いたのは、半年くらい前なんだけど。
先日、とあるセミナーの受付を手伝った。もちろんセミナーの内容なんて知っちゃいないんだけど、何故か受付をしただけの私に、名入りの表彰状が渡された。
「鳥野りと様 ~に行われたセミナー云々を、修了したことを証する」
はじめて躊躇なく捨てたよ。ありがとう。