◆コンビニ(の)人間
自分が、ちいさい人間だな~って思うことは沢山ある。
二週間ほど前、とあるコンビニでフライドポテトを買った。
レジ前のガラスケースに入ってる、ホットスナックと言われるやつだ。てのひらにのるくらいの紙の箱に、厚めに切ったポテトが五本くらい入っている、ちょっと体に悪そうなアレ。
残業が長引いて、夜の十時を過ぎた頃だった。適当に夕飯を見繕おうとコンビニに入ったところで、その油っぽいにおいに気が付いた。飴をなめなめ空腹をしのいでいたせいか、普段は買わないホットスナックが、妙においしそうに感じた。
わたしは迷わずフライドポテトを注文した。
店員は、大学生くらいの男の子。こっちが心配になるくらいの、たどたどしい手付きでレジを打っていた。何かやらかしそうだなあと思った。
実際、やらかした。
注文してしばらく。店員さんが、フタの開いた状態のフライドポテトの箱をレジに持ってきた。わたしの目の前で封をして、袋詰めをするらしい。(この手のホットスナックは、ガラスケースに入っている時は中身が見えるようにフタが空いている)
何か手付きが乱暴だな~と思っていたら、箱をどんっと置いた瞬間に、ポテトが一本飛び出した。ここまでは「やらかし」の想像の通りだと思う。
あろうことか彼は、その落ちかけたポテトを、レジと自分のお腹の間に挟んでキャッチした。
彼はレジにお腹を押し付けたまま、「何も落ちてないですよ~~!!」という顔をして、普通にフタを閉めた。きっちりテープを貼った。ポイントカードを出せと言ってきた。
それ、マイナス一本されてますよ~!
文句を言おうかと思ったけど、後ろにも人が随分並んでいたし、これ以上たどたどされても堪らないので、そのままにしてしまった。じっと観察してみたら、ポテトが潰れて、もさっと形が崩れていた。
最後までキャッチする精神は素晴らしいけど、わたしのポテトだよ~!
会計が終わってレジを離れた瞬間、彼がポテトをつまんで捨てた瞬間を見た。
なんてやつだ!
その時は「せめてもう少し挟んでくれたっていいのに」って訳の分からない怒りがこみあげてきたけど、時間が経つにつれて「あの時、取り換えるよう言えば良かった!」って正当な怒りにかわってきた。もちろん、自分に対する怒り。
冒頭に戻る。
自分が、ちいさい人間だな~って思うことは沢山ある。例えば思い出しながら、必死にこの文章を書いている時。
年末、腹のあたりに染みがあるコンビニ店員に出会ったとしたら、たぶん彼だ。